夕食に使った食器類
シンクに運びはしたものの
洗いを終える間もなく
眠気につよく襲われ
座り直した食卓のイスで
引き込まれるように
うとうとし始める
ちょっと眠ってから
洗いものは済まそうと
寝室に行って横になった
目が覚めると
もう二時
食器を洗っていなかった…
と起き上がり
少しふらつきながら
台所へ
自分で置いたとおりに
食器は積み重なり
コップやグラスは並び
なんのへんてつもない光景
スポンジを取り
洗剤をつけて
蛇口から水を出しながら
さっそく洗い始める
しかし
ふいに気づく
打たれたように
手を止め
山をなす食器の光景を見直す
なにに気づいたのか
気づき直そうとしながら
…聖なる配置
…聖なる秩序
大げさは承知で
そんなことを思い
光景をつかみ直そうとする
夕食の後の食器類が
自分が運んで自分で置いたままに
並んでいる
重なっている
それだけのことなのに
つよく
はっきりした意思によるかのように
このように
他のかたちではありえないように
まさにこのように
こうあるべく
絶対にこのように
こうあるべく
並んでいる
重なっている
爆発の閃光のように
光景は深み
ひろがり
過ぎた時間のすみずみにまで及んで
自分のすべてが
どうして
こうあらねばならないか
どうして
あのようであらねばならなかったか
スッと
ではなく
ズドッという感触で
腑に落ちた
…聖なる配置
…聖なる秩序
大げさは承知で…
食器類を洗い終える間もなく
眠気に襲われ
寝室に行って横になり
二時に目覚めて
少しふらつきながら
台所へ…
そのようになるべく
太い
ながい不可知の配慮で
綿密に組まれ
織られていた
なんのへんてつもない光景への
ひそやかな過程
そうして
また
次の光景へ
なんのへんてつもない光景へ
また
その次へと
そのようになるべく
太い
ながい不可知の配慮で
綿密に組まれ
織られていく
ひそやかな過程
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