また台風が来るという日に
―今度はそう大したことはなさそうでは?…
―注意していれば大丈夫だろうし…
―すぐに過ぎていきますよ…
などと
職場のエレベーター前で
思いつきの浅い言葉が続いている
―また人が死ぬなぁ、人はこつこつと死んでいくからなぁ…
わたしもそう言ってみたら
―またまた、ネガティヴですねぇ…
と返された
どこもかしこも
死が累々としている
と見えるのは
わたしだけ
…ではないとは知っているものの
死も〈ある〉ことの要素だとふつうに見ている人と
死を排除して日々を見ている人と
なにごともなく混ざりあって
世というスープは
薄くうすく
温まっている
死を思わない人は
きっと
死ぬこともなく
ある日
かたちを失っていくだけなのだろう
―あなた、死んだんですよ
などと言ってやろうものなら
―またまた、ネガティヴですねぇ…
と返されるかもしれない
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