2013年10月25日金曜日

あかるい木の床の上に








日本が最高だとも
最低だとも
聞き飽きている

中国の国慶節
国旗掲揚を見に
十一万人が
天安門広場に集まったが
民衆が去った後に
落ちていたゴミの量は
五トン

フィリピンのルソン島では
移住した日本人の家に
近所の子が入って
冷蔵庫を勝手に開けていたので
日本人はそれを叱った
それだけなら
どこでもありそうなことだが
その子の親が怒って
報復のため
日本人を射殺したという

日本の原発
いまさら何をかいわんやだが
最高水準と売り込んで
新興国への売り込みに必死
アメリカの
ペーパーバックスの通俗小説には
最高とかブリリアントとか
今年いちばんとか
見たこともないほどのとか
広告文句がずらっと並ぶけれど
最高ということばが
そもそも広告用だったんだな
人はいつ
ちょっと声をあげて
最高
なんて言うのか
用例をおさらいしてみれば
すぐにわかる
その場の人間関係で
自分がちょっと目立ちたいとか
一言居士的にちょっと秀でたいとか
そんな時の
さびしい定型句「最高」
そんなものに
過ぎなかった「最高」

ふと
夢を見たのだ

あたらしい
きれいな家を見ている
大きな窓から
陽がさらさらとゆたかに注いで
採光が最高
などと思いながら
あかるい
木の床の上に
いつまでも立っていた
                                
   





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