そのおうち
南に面した庭の白梅は
いまが満開
このあたりでは
毎年いちばん開花がはやい
どうしてだろうと
柵ちかくの白梅の木に
ぴったりくっつき
木になりきったようにして
まわりを見まわすと
東から南をずっと一望できる
日の出から夕方まで
陽を遮るものがまるでない
そういうことだったのか
それだけのことだったかと
思いながら東から南を
なんどもなんども
ぐるりと見まわしていると
へんな人だなあというふうに
しげしげ子どもが見上げて
なんどもふり返りながら
お母さんに手をひかれて
遠ざかっていったんだよ
けれどほんとうに
それだけのことだったか
決めつけたわけじゃあない
なぞはまだまだ深いさ
簡単そうにみえても
深いなぞであってほしいのさ
0 件のコメント:
コメントを投稿