恋人がむらさきになったので
泡立てて
ちょっとしっかり洗う
カリフラワー
お財布の中に
入れておいたレシピの紙片
失くしたようだけど
なんとかなるわ
過去のすべてを生き続けて
いない人や驢馬など
いないから
といっても忙しい あたし
汗はいつからか
ラベンダーとライムの香り
だれのためにも生きないと
ようやくツグミが歌う
いまのまゝでいいことなんて
なぁんにもない町のはずれ
籐の買い物籠をさげて
おばあさんしてもいる あたし
長いながい転生を
してきたのよ 容姿も性も性格も
とっかえひっかえしながら
形而下連中につき合って
けれどマーガレットと蘭を
いっしょに髪に挿す夜明けには
それも終わり おばあさんの下の
むくつけき闘士が剣を抜くから
むらさきがどれも恋の思い出に
なる頃あいもとうに過ぎても
あいかわらず洗っている
カリフラワー それに脳も
無くしたレシピの紙片など
いらないのは 腕に染み込んだから
泡立つ過去を扱いを
足先の小指でさえ知り尽くしているから
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