2014年6月27日金曜日

うすら明るい湖の一帯



〈はげしさ〉が
どうやら
一息ついているらしい
湖に突き出た
小島

日も暮れたというのに
地形の妙から
いつも小一時間ほど
うすら明るい
湖の一帯

片手に(あの影は)
きっと帽子なんか抓まんで
〈はげしさ〉の奴
なかなか大人っぽい
うらさびしさ

うすら明るい
湖の小一時間がいい
まるで生涯なんて
この時間だけのために
ある枠組みみたいに

ここでグラスなんかを
持ち出したり
ライターをシュボッと点けるのは
たゞのおやじ
なんであれモノに頼るのは

酒も飲まず
煙草に火もつけず
水ぐらいはあっていいが
なくって喉が渇くのがいい
唇が渇くのがいい

うすら明るい
湖の一帯で
小一時間ほど影となり
闇となっていく
闇の中の闇の闇へと




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