ああ、人間がいやになる。
金子光晴
『新しい鄭衛の地にゐて』
あい
やさしさ
いつくしみ
おもいやり
おもてなし
そんなことばを
とぅるりと
ひょろりと
ぺろりと
いいつづけてきたひとたちが
だまっているのを
きをうかがっているのを
ボクはみている
じっとみている
よおくみている
にっぽんからとおいとちで
ぶきもないふつうのひとびとに
さいしんのぶきをむけて
あたまを
うでをあしを
どうたいまるごとを
ふきとばして
ほんとうによろこんでいる
いすらえる
そっちのがわにつけば
ひともうけできるんじゃないか
そっちは
おやぶんのあめりかと
いっしんどうたいだしなと
たましいのそこから
あきんどまるだしのさんだんで
したなめずりして
もうけをおもいえがいて
へらへらして
やにさがりさえして
ぱれすちなの
びんぼうなれんちゅうの
ふこうやひさんなど
みざる
きかざる
いわざると
いつものすっとぼけをきめこんで
どっちつかずのあいまいな
げびたこんじょうまるだしの
ぜんりょうなる
しみんども
げんだいじんども
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