週末の夕暮れは
うすあかりしか灯さず
うす闇を絶やさず
しずかな黒光りする廊下
気のゆるやかに流れる部屋部屋
花の咲きこぼれる庭のめぐり
書架には東西の古典
小卓の上や回廊の角々には
橙色のほのあかり
だれにも邪魔されず
時の隙間のむこうの悠久の〈時〉に
大げさな素振りもなしに入り込む
街の音も聞こえてくるものの
人声はみな異国のことば
人心は古代さながら
この国もあの国もまた滅び
帝国の入れかわり立ちかわりに
地表はざわめき続けるが
数千年ばかりを生きてきた
この霊体で今しばらく
近代とかいう人界喜劇の見物
科学やらヒューマニズムやらの
蒙昧に酔った此岸のさなかで
あいもかわらず第一原理の考究
ところで…わが弟子カリオストロめ
またどこかで紛争など煽って
実地研究などと嘯いているのか
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