2014年11月20日木曜日

生きのび続けていると



  
ふしぎなものだ

じつは
ついこの間の旅よりも
とおい昔の
旅ともいえないような旅の記憶が
秋の野を這う霧のように
眼界に漂っている

その時いっしょだった
いまはもういない
人たちの声が
すぐ近くで
いまも響いている

どこに
わたしはいるのだろう

いなくなった
あの人たちではなく
わたしこそ
いま
どこにいるのだろう

ふしぎなものだ

生きのび続けていると
だんだん
わかってきたりする
時間は
たんに過ぎ去るものでなどなく
ここが
あそこと違うのも
ただ表向きに
すぎないということが




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