死んだ人と掃除をしていたら
掃除がすこし温まってきて
あたりはうっすら
春のお昼間のようになった
(ちょっと
(お茶にでもしましょう
そう誘うと
死んだ人はうれしそうに微笑んで
置時計を指さすと
秒針は動き出し
音を立てはじめた
(それでも
(また生きるわけではありません
うれしそうなままで
死んだ人は言い
温かみの中に
佇み続けていた
置時計の後ろの鏡に
やはり
私は映っていないのに気づき
(私にしても
(いつか存在するわけではないんだ…
つぶやくと
死んだ人はうれしそうなままで
(そう、あなたときたら
(死にもしないし
(生きてさえいない…
そう言って
ティーカップに手を
のばした
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