その霊道をしばらく辿っていないが
ほっ
ほっ
と昼日中に
町中の明るい光景の中にともし火が浮き
それがずっと連なって
進むべき方向を示す
霊道に向かうその道筋もやはり霊道の支流なので
この世の道や建築のありようを無視しており
線路を横切って延びていたり
壁や柵にかまわず延びていたり
建物を貫いていたりする
人体を持っているかぎりそれらに阻まれるのだが
霊道支流の誘いはつよく
多くの人が引っぱられるように辿り出し
物理的な障壁にぶつかったり
電車や車にはねられたりする
中には人体を棄てるために進んでそうする人も出る
その霊道の誘惑に抗するには
つよい抵抗力を持たねばならないが
この世の物の誘惑や
人間関係的な誘惑など無視し切るようでなければ
とても役には立たない
この抵抗力は世の中では冷笑的な性格と映ったり
冷酷さと映ったり
無関心さと映ったりするが
そのようなことに気を遣っている余裕はもうない
もし人体をなおも保持しながら
この世とあの世の繋がりを維持し続けたいのならば…
そうでなければ
霊道にすぐにも誘われていったほうが
たぶん幸せだろう
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