2015年1月3日土曜日

霊道支流


  
その霊道をしばらく辿っていないが
ほっ
ほっ
と昼日中に
町中の明るい光景の中にともし火が浮き
それがずっと連なって
進むべき方向を示す
霊道に向かうその道筋もやはり霊道の支流なので
この世の道や建築のありようを無視しており
線路を横切って延びていたり
壁や柵にかまわず延びていたり
建物を貫いていたりする
人体を持っているかぎりそれらに阻まれるのだが
霊道支流の誘いはつよく
多くの人が引っぱられるように辿り出し
物理的な障壁にぶつかったり
電車や車にはねられたりする
中には人体を棄てるために進んでそうする人も出る

その霊道の誘惑に抗するには
つよい抵抗力を持たねばならないが
この世の物の誘惑や
人間関係的な誘惑など無視し切るようでなければ
とても役には立たない
この抵抗力は世の中では冷笑的な性格と映ったり
冷酷さと映ったり
無関心さと映ったりするが
そのようなことに気を遣っている余裕はもうない

もし人体をなおも保持しながら
この世とあの世の繋がりを維持し続けたいのならば…

そうでなければ
霊道にすぐにも誘われていったほうが
たぶん幸せだろう




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