2015年6月26日金曜日

この時代にあって



たとえばゲーテの
あれらの小さな詩を思っている
時代にも流行にも
汚されなかったまどみちおの
シンプルなことばや
リルケのもののうちでも
もっとも短く簡素な
しかし奥行きの深いもの
イスラム神秘主義の詩人らの
抽象的でいて
葡萄の実を齧ったような
輪郭鮮明な詩句なども

長過ぎ
重すぎる
ごてごての詩が
数百年ばかり
多過ぎたあとの
この時代にあって



0 件のコメント:

コメントを投稿