2015年6月28日日曜日

陽のあたる居間にいると…



陽のあたる居間にいると暑いが
その時間にまったく陽のあたらない書庫に行くと
小窓から涼しい空気が入り
どこかの高原に来ている気さえする
本を読むだけなら
この時間
どこかの倉にでもいるようで
ここはとてもいい
しかし暗いので明かりを点けていなければならず
それが人工的で残念に感じる
そうしてまた居間に戻るのだが
温まった空気が肌にすこし不快感を呼び起こす
冷房を入れれば簡単に解消するが
それも人工的で残念に感じ
いつも真夏でさえほとんど冷房は入れない
バルコニーに出る窓(残念ながらフランス窓ではなく
日本ふうの趣のない大きなサッシ窓だが)を開け放ち
ひかりをたっぷり入れて
暑さの中で本の細かい文字の行を追う
外国の歴史書の些細な出来事の連続を追っていて
時には巨視的に社会構造の変質過程を論じる文章も続くので
行を追うと言っても後戻りを繰り返しつつ
線を引いてはOやチェックをつけたりと
なかなか進まない時も多い
一冊読めば済むのなら楽だが
他の歴史家や思想家の見解もさんざん見なければならないので
この夏に目を通すべきページ数はたぶん数千を下らない
その後にメモの書き出しや整理や
そうしてさらに考察やまとめやと控えているのを思うと
くらくらと眩暈がするようだが
そんな中で世間では
国会周辺や渋谷などで若者が政権の憲法違反に
ようやく声を上げ始めているようで
積極的に動かなければ政治では何をされてもいいのがルールである以上
その動きむろんは慶賀すべきだが
主張を見ていると明らかに裏には諸野党の政治工作が入っている
野党政治家の怪しい面々までしゃしゃり出てきて
握手などしてこれはこれでこの夏の奇譚が増えそうな趣き
それはそれでかまわないが
自衛隊がそもそも憲法違反だとまで叫ぶ若者の主張は
言わずもがなの極左の恒例の主張で
ほほう相当に裏に入り込んでいるんだな
というよりプロ市民ならぬプロ若者を仕立て上げて
傀儡していると見たほうがいいようだな
真偽のほどはもっと観察しなければならないものの
そんなふうに思いながら
さっき目にした尖閣諸島への
中国海警2307と2337の領海侵入のニュースを思い出してい
今年18回目のこの侵入の際に
中国海警からは「貴船の主張は受け入れられない。ここは古来、
中国固有の領土だ。その周辺12カイリは中国の領海だ」と
答えてきたという
中国政府や中国軍なりの理性や合理主義を疑ってはいないが
憲法違反どころか自衛隊違憲を真っ当に
今になって告発する若者たちには
こうした中国の見解や行動をどう捉えるか聞き質してみたい
彼らの答え方や反応のしかたは
彼らの急な行動開始がどこから出て来ているのか
はっきりと示すリトマス試験紙になるはずだろうから
戦争放棄を謳った憲法の価値が人類史の頂点にあるのはあたり前
しかし現代日本の居心地のよさや快適さを支えている多くの大企業
たくさんの種類の兵器を開発して儲けているのを彼らはどう言うの
それらの企業の前に出向いて拡声器でがなり立てないのか
いつもながらにそこだけは頬かむりして言わないのか
彼らを支える左翼政党が強欲な上納金を強要しているばかりか
反対者を封じ込めるための盗聴などの諜報活動を
関係者たちに常時行っているのをわたしは労働組合活動でつぶさに知り
そこから離れて別の組合を立ち上げたものだったが
そんなところにはやはりお決まりの頬かむりか知らないふりか
ともあれかつての軍国日本ばりの今の隣国を
好きなようにやらせておけばいいのなら御伽の国の花園
どこまでも武力は使わずに説得します
話し合いします
それでわからない国はないはずです
それでわからない人たちなど人間ではありません
…で済めばなるほど軍隊どころか警察もいらないといういつもの話
いかにも憲法に従うのは為政者の至上義務だが
元々が異例と逸脱と特例だけで乗り切ってきたこの泥縄敗戦国は
いまだに真っ当な路線にしっかり乗ることなどできない
それをやろうとすればまずはふいの事故死や病死で消されるだろう
もう少し運動が進んだとしてもやってくるのは
仕掛けられた上での経済の暴落や第惨事による停滞
アメリカの一部が日本を利用しまくって
儲けよう生き延びようとしているところに反旗を翻せば
そう遠くないうちになにが起こるか目に見えている
残念ながら第二次大戦での徹底的な敗戦とはそういうこと
数十年どころか数百年経っても浮かび上がることのあり得ないよう
完膚無き麻痺や弛緩の装置を物理的にも心理的にも思想的にも
張り巡らして仕掛けつくしたアメリカを甘く見てはいけない
ここは塩を魂の大地にまかれ尽した東洋のカルタゴなのだ
それはそもそも黒船来航の時から仕掛けられていて
山口の被差別民たちからなる明治政府そのものが
欧米の金融人たちや大武器商人たちを設けさせる駒としての
あれほど露骨な傀儡政権ではなかったか
日本国憲法など従順なロボットに張りつけられた期限付きの証明書
それが人類で最も美しい高貴な反暴力の文言でできているのだから
悶えずにはおれないほどに涙ぐましい芸術作品
けれどそろそろ証明書の内容を訂正して
今度はこちらの戦争の傭兵や尖兵に仕えるようにしようかと
そんなご主人様のお考えを支店長たる日本政府が
実務面を引き受けようとしているというだけのこと
…と夢想にまで近づいていくような思いの流れに
陽当たりのいい居間で本を手にしながら少し頭を揺られていたが
外国の一時期の歴史を詳細に語る歴史書のほうへ
さあ、戻らなければ
本がこちらに展開してみせるその一時期の中では
大革命の取りまとめ役にして政治的正統性の取りまとめ役
さらに大簒奪者にしてヒトラー以上の大殺戮者ナポレオンを
いかに追放しそこから権力剥奪をして
ヨーロッパの君主制諸国にとって二度と脅威とならないフランスを
捏造しようかとの算段の最中
高校程度の世界史ではいかになにも習ってこなかったかがよくわか
最新の19世紀史研究者たちによる小説より奇なりの論述…




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