2015年10月24日土曜日

いつもいつも変わらない眺め



なにをどう他人に見てもらいたいのか
まるで花の香りのように
星々のひかりのように
鳥たちの啼きわめきのように
人々は態度を示し
しぐさをし
感情をあらわし
考えを述べてみたり
主張を声高に叫んだりしている
いつもいつも
変わらない眺め
百年どころか
何千年も昔から
このかた

そうして人々は骨だけを残して
消え失せていくけれど
骨が他人の目に晒され続けることは少ないので
骨さえも人界からは消えていく
その人の思い出がしばらく残ることはあり
懐かしまれたりすることもあり
教えだとか雰囲気だとか記憶されていることもあるが
記憶を持つ人々も遠からず骨になり
骨は骨の場所に冷たく暗くしばらく安置されて
やがて数十年もすれば他のたくさんの骨と混ぜられ
そんな人々は最初からいなかったかのように
記憶の更地が地上に広がっていく

はじめから
態度を示さず
しぐさをせず
感情をあらわさず
考えを述べず
主張を声高に叫んだりせずに
他人に見てもらおうとせずに
まるで花の香りのように
星々のひかりのように
鳥たちの啼きわめきのように
他人を相手にせずに
つかのま時を埋めればよかったのに
まったく
何からなにまで無駄なことを

いつもいつも
変わらない眺め
百年どころか
何千年も昔から
このかた





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