なにをどう他人に見てもらいたいのか
まるで花の香りのように
星々のひかりのように
鳥たちの啼きわめきのように
人々は態度を示し
しぐさをし
感情をあらわし
考えを述べてみたり
主張を声高に叫んだりしている
いつもいつも
変わらない眺め
百年どころか
何千年も昔から
このかた
そうして人々は骨だけを残して
消え失せていくけれど
骨が他人の目に晒され続けることは少ないので
骨さえも人界からは消えていく
その人の思い出がしばらく残ることはあり
懐かしまれたりすることもあり
教えだとか雰囲気だとか記憶されていることもあるが
記憶を持つ人々も遠からず骨になり
骨は骨の場所に冷たく暗くしばらく安置されて
やがて数十年もすれば他のたくさんの骨と混ぜられ
そんな人々は最初からいなかったかのように
記憶の更地が地上に広がっていく
はじめから
態度を示さず
しぐさをせず
感情をあらわさず
考えを述べず
主張を声高に叫んだりせずに
他人に見てもらおうとせずに
まるで花の香りのように
星々のひかりのように
鳥たちの啼きわめきのように
他人を相手にせずに
つかのま時を埋めればよかったのに
まったく
何からなにまで無駄なことを
いつもいつも
変わらない眺め
百年どころか
何千年も昔から
このかた
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