しばらく霊たちの憑依が続いていた
むしょうに旨い牡蠣フライが食べたくなったり
ひさしぶりに歌舞伎に浸りたくなったり
大量の古楽器演奏を聴き直したくなったり
ニーチェやフーコーやバフチンばかりか
ヤーコブソンや内田百閒などまで同時に読み耽りたくなったり
ラテン語とイタリア語とドイツ語の復習に
しっかり時間を割けないことが苦しくて堪らなくなったり
今ではよくわかっているが
こんなことはルネサンス以来の憑依霊や指導霊たちが
冬の訪れとともに騒ぎ出すからのこと
このところ打ち捨てて使わないでいた
古いMP3ウォークマンを机の奥から出して
朝から晩までバッハのチェンバロ協奏曲を耳に鳴らし続け
盛時のピノックがもちろんいいにせよコープマンのほうがいいのも
やっぱりあるとともにムジカ・アンティクア・ケルンでないと
満足のいかない曲もあるなどともう20年来のためつすがめつを
またくり返し直して
ようやく精神の均衡を取っている始末の
あゝ、まるで1990年代の終わりが不意に蘇ってきたような
2015年の終焉間際の数週になるのか…
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