大事に思うメールに
よく考えて
ことばもよく選んだ上で
返信しようと思うと
かえって
いつまでも書けなくなってしまう
事務的な返信や
アポをどうするかとか
そんなメールなら
すぐに返せるのだけれど
メールひとつ書くのにも
混んだ電車の中ぐらいしか
時間がとれない
おゝ晩秋よ
おゝ初冬よ
ゆっくりと時間をかけて
お茶を淹れて
小さな菓子なども
小皿に載せて机に置きながら
大事な手紙に
お気に入りのペンを使って
返事を書いていた頃の
あの心持ちを
あの雰囲気を
心の中で
思い出の中でばかり
わたくしは蘇らそうとする
揺れのやまぬ
混んだ暑い電車の中で
ぎっしり立ち詰めになって
たいていの人が電子画面を見つめて
みなそれぞれ
自分だけの遠い故郷へ
今でなく
此処でなく
憩えるどこかへ
たぶん
たましいを
…たましいを?
…そう
たましいを
飛ばしている
こんなあまりに特殊な
そしてあまりにありふれた
今
此処
の
環境のさなかで
0 件のコメント:
コメントを投稿