2016年2月15日月曜日

にんげんの歌

  
生きていても
死んでいても
本当にどうでもいいということに
だれもが気づかないでいる

そうして
縛られている
じぶんが生きねばならない
などと思いこんで

そうして
じぶんが生きるために
仲間をつくり
仲間が生きのびるために
じぶんたちに属さない者たちを
こき使い
苦しめ
殺さねばならない
殺し続けなければならない
そう信じ込んで

そうして
仲間だけを助けてみて
人道だとか
人間的だとか
高い魂だとか
思いつくかぎりの
自画自賛をしながら

やがて
自然界に組み込まれた生死の条件に
否応もなく
じぶんも
じぶんたちも殺され
名もすっかり消え去り
やったことも子孫に忘れられ

やがて
やがて
肥大化した太陽が地球を飲み込む時
はじめから何もなかったように
子孫に伝えられたDNAさえも消滅し
大地も消え
大海も消え
大気も消え
時間さえも消え果てる



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