2016年2月28日日曜日

床屋や商店のそこかしこで


         高く心を悟りて俗に帰るべし。
服部土芳『三冊子』


政治にも世の中にも裏の裏の裏があり
そのまた裏の裏の裏があって
まだまだ裏の裏の裏があるのだから
本当のことがわかりかけるのは
たぶん数百年も経った後
だから現在のニュースを追う必要はないし
話したり分析したりしたくてたまらない人たちと
ちょっと床屋談義でもしてくれば十分

そういえば喜劇作家のモリエールは
よく床屋で人々の話を聞いていたっていう
ふつうの人たちがしゃべる話にこそ
人間というのは露わになるものだし
それらこそが世界の誰もが興味を持つ部分
人間を知りたい場合にも
人間を惹きつけたい場合にも
床屋や商店のそこかしこでしゃべられる
喜怒哀楽のごたごたをこそ
聞いたり使ったり組み合わせたりしなければ




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