書いたものを読まれたがっている詩人に会った時
ダメな人だな
と思った
この人の書くものからは何も来ないだろう
これから後の数百年
数千年を超えていく言葉など
彼から洩れ落ちては来ないだろう
読まれようが読まれまいが
詩人なら書けよ
むしろ読まれないであろう言葉をこそ書けよ
詩人なら書けよ
言葉でさえない強度を書けよ
言葉は必ず誰かに向けて書かれると云われる
ならば誰にも向けられていない
向かない言葉を出現させよ
なにも語らず
なにも意味せず
ただ刻まれ
黒い染みとなるだけの言葉を
時間と空間の秘密
大宇宙の孤絶のただ中に
放り出せよ
そして
いない人たちを準備せよ
言葉の向けられようもない人たち
言葉などに見向きもせず
大宇宙の孤絶のただ中に
みずからもまた
放り出されたまま
時間と空間の尽きるまで
あり続ける人たち
あり続けうる人たち
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