2016年3月26日土曜日

もう



むかし
詩のかたちで書き出した頃
読みあったり
評しあったり
いっしょにどこかに出かけたり
飲んだり食べたり
そんな仲間がいたりして
ひとつの集まりがほぐれたり
崩れたり
はじけたりすると
また別の集まりができていったりして

思ったことはなかった
まさか
本当にたったひとり
誰にも読まれずに
えんえんと
書き続けていくなどとは

リンカーンの演説ではないけれど
じぶんだけのために
じぶんだけにむけて
じぶんだけによって
じぶんだけで
えんえんと
書き続けていくなどとは

それを無意味とも思わず
おもしろいとも思わず
やぶれかぶれでもなく
ばからしいとも思わず
書いているんだなァ
よく書くよなァ
なんでだか書くよなァ
などと
時々
ふしぎに思ったり
ヘンなやつだなァと思ったり
もう
いいんじゃないのか
そろそろやめても
と思ったり

じぶんだけのために
じぶんだけにむけて
じぶんだけによって
じぶんだけで
生き続けるのも
もう




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