満開の桜に降る雨がまた良い
今日の桜はどうだろうと起き出る早朝
カーテンのむこうには
重く咲き極まった桜の枝々が
たっぷり雨を受けて
さらに重く
存在の極点に達しようとしている
咲いたならば散らねばならず
散る前の雨の重さと試練は
花という花をじつは最も美しくする
たっぷり雨を受けることで
桜は春の訪れを春そのものに変質させ
強引に初夏を引き連れてくる
かたちと色をきっぱり捨てる準備をして
あらゆる桜が夏へ魂となって侵入する
春を鋳直す重くつよい雨は良い
満開の桜に降る雨が世界に芯を入れる
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