桜を見て歩くにも
なんやかやと
ブランドにでも惹かれるようにして
人のよく集まる名所も
あっちやこっち
まわってみるうちに
まわり疲れて
やがて
よく知らない町々の
けれども
どこにでもありそうな
雑然とした庭や
苔むした壁の続く通りの
桜並木をめぐり始める
歩いていると
ちょうどなにか
食べるものを作っているのか
醤油のにおいがしたり
焼き魚のにおいがしたり
揚げ物がにおったり
洗剤の花の香りがしたりする
生活のにおいという
あれか…
と思いながらも
人の群れるお祭り騒ぎの
花の名所にはない
くつろぎと
懐かしさに嬉しくなってくる
ほんとは
生活のこんなにおいが
好きなんだ
桜がこんなにおいと
混じり合っているのにこそ
ホッとさせられるんだと
ようやく仮面を外し始めている
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