いくつか店をまわると
ものを入れる厚手の布袋も
三つほどいっぱいになり
やはり大根は重いなァ
家まで卵を割らないで
たどりつけるかしら
など思いながら
それでもちょっとは
胸を張るようにして
なるたけきびきび
歩き続けていく
信号まで二三分のところに
大ちゃんという店があり
飲み屋かスナックか
よくわからない二階の店で
モルタルにヒビの入った
噛み終わったガムか
ムーミンの劣化版みたいな
古い建物がひどく侘しいが
ふたつある窓だけはなぜだか
大正ロマンふうな丸窓
たまに歌声が聞こえてくるが
どんな人が集まるのか
わからない乱歩な場所
この商店街にも慣れたが
いつまでも大ちゃんには
関わる気配もなしに
買い込んだ重い食材を抱えて
前を通っていくばかり
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