１１行×３連

一日に一度

少しでも時間に余裕があれば

インスタントではなく

中挽きの粉を使って

少量のコーヒーを淹れる

手がかかるといっても

たいしたことはない

インスタントとは違って

味のふくらみや

なめらかでいながら

充実した舌触りがある

プロではないので

作るたびに仕上がりは違う

同じ湯量と思えるのに

味にざらつきがあったり

酸味が立ち過ぎたり

かと思えば

ちょっと水っぽさが出たり

どこかいつもより

いい加減にしてしまったのに

驚くほどの旨さが

舌に絡んできたりする時もある

出来不出来があるにせよ

よほどの専門店でないかぎり

じぶんで作るほうが旨い

昔は旨い店がいっぱいあったのに

などと思いながら

じぶんで淹れたコーヒーを

とろりと舌に絡ませながら

あるいは頬の裏側から

歯茎のここからむこうへ

さらさら走らせながら

しばらくどこでもない域にいる