2016年8月26日金曜日

くりかえし くりかえし



きょう きみは生まれた
もう 何十年にもなる
くりかえし くりかえし
めぐり めぐって
生まれた きょうに
また きみは立っている

いろいろなことが あった 
とは くりかえすまい
言ったって わるくないが
なんども言ってみた 結果
言っても 言わなくても
おなじとわかった 言葉だから

よかったとか わるかったとか
けっきょく こんな運命だったとか
そういうのも くりかえすまい
過ぎてきた風景を ひとことに
ひと色に 決めつけるなんて
どうかしていると じぶんで
もう わかっているから

望んだこと やろうとしたこと
惹かれ続けたこと たぶん
愛した などと大仰に言っても
いいかもしれない こと
失われたこと 傷つけられたこと
かなわなかったこと すこしも
うまくなど 進まなかったこと

それらの どれもこれもが
くっきりと 輪郭を保ったまま
風景のなかの ポイントのように
今ではなっていると 見える
だから大事だなどと 甘いまとめに
さすがにもう 落し込まないのが
いまの きみのありよう
大事とか 大事でないとか
評価という気まぐれな そんな秤
勝手に左右に 触れるにまかせておく

きょう きみは生まれて
もう 何十年にもなるんだと
ほんのすこし ふり返る
くりかえし くりかえし
めぐり めぐって
生まれた きょうに
また 立っているのかと
まだまだ 動いてくれている
からだと こころと あたまとに
まずは 最大の感謝をしながら
ふしぎで 操縦のむずかしい
小さな複合体の 隅ずみまでを
感じ直そう つかみ直そうとする

からだと こころと あたまとに
まずは 最大の感謝をしながら
…それにくわえて たぶん
到るところで はっきり姿を現わし
導きどころか 道そのもの
道どころか じぶんそのものとなって
こころとあたまの 企てや計画へ
強引な手つきで 介入し続けてきた
宿命とも運命とも いわれる
あまりに必然な趣の あの偶然というもの
あれらにも いっそうの感謝を
しておかなければ ならないかと
滞在も もう何十年にもなる
いまのきみは つよく思っている

そんなきみを 見ている
なおも 見続けていく
内も外も 時間のへだたりも超えて 
見続けていく このまなざし
これは 本当はだれなのだろう
きょう きみは生まれたと
きみはさっき 語り出し
もう 何十年にもなるのだと
少し感慨深げに 添えたが
そんな何十年より はるか前
きみの生まれる 以前から
見続けている まなざし

だれなのだろう などと
せん索する 必要などない
きみはただ 見られ続けていけ
くりかえし くりかえし
めぐり めぐって
生まれた 複数のきょうに
まだまだ何度も くりかえし
くりかえし 立ち続けていけ
そんなきみを 見ていくから
なおも 見続けていくから




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