2016年8月15日月曜日

ノオトを持って行くからね



死の遅速のなか
生のなかに
あるかのように
右往左往している

遠くで列車が止まっている
駅でもないところで

買い物に行こう

少し値の張る
必需品でない贅沢なものを

そうして
帰りにはきっと
林のなかの
ちょっと高原めかしたレストランで
純白のテーブルに着き
肉でも魚でもない
すてきな食感の新料理を
特別に出して貰うことにしよう


この国でいちばん高い塔は
今夜は
停電するそうだが
なに
そのあかりで
星々のあいだを年若い恋人たちがめぐるわけでもない

(ぼくはノオトを持って行くからね
(そこにはどんな説明も書いてある
(わからないことが出てこようとも
(それのなかを探せばきっとわかる
(だからどんな心配もいらないのさ
(まだまだぼくらは進んでいくのさ
(………



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