最後には
衰弱が
老いが
すべてを刈り取りに来る
喜び
楽しみが
感動が
慰安が
なにになろう
刈り取られる時には
死を間近にし
寝たきりになった者の
肉のそげ落ちた
足腰を
つぶさに見たことが
ないのか
閉まらなくなった
口の中に生える
苔を拭いとろうと
したことは
ないのか
拭き取っても
拭き取っても
洩れ出てくる糞尿を
さらに
拭き取ったことは
ないのか
床を這い近づいてくる
亡霊のように
それらが迫ってくるだけなのが
この世の生だというのに
いま
なにも考えずに
世間の流れに
お行儀よく
流されるまゝになって
それをあたかも
あるべき
生
ででも
あるかのように
思うことにしておくだけで
よいのか
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