2016年12月2日金曜日

近づき



足もなく歩く
きしむ
時計の古いのを
思い出し
手放したのを少し
さびしむ
都会を
渡海
瑠璃色翼賛協会の建物前の階段を
やはり
足もなく歩く
枯れ細った朝顔の蔓に
気づいて
おしむ
肌ばかりなまめかしくて
淳子さん
落した万年筆
雁が
たぶん
咥えて持って行って
しまい
フラミンゴが
持ち帰ってきてくれた
冬日は夏のはじまりに裏打ちされている
いつも
賑やかなものの来る
予感
それだけはある
午後4時
まっ黄色の実がサンランと
まるでサンランと
地面に落ちる
ほんの一瞬前の
まだ
音になっていない
近づき




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