歩いているうちに
霙となった
寒かった
さらに
寒くなっていく
しかし
歩いているうちに
霙となった
経験の
あれこれが思い出され
まるで
何度も見直して
知り尽くした映画を
ふたたび
見直すよう
誰かと
いっしょだったか
楽しいこと
面倒なこと
それらの最中にあって
ふたりや
数人で
またはひとりで
曇天の下
歩きに外に出て
霙となった
あの時
あんな時
傘に
ぱちぱち
当たる
音
雨と見えていたものが
白く
大きくなる
霙か…
雪になるだろうか
そう思いながら
いっしょにいる誰かと
霙について
寒さについて
なにに到るでもない
途切れがちなおしゃべりをし
歩いて行く
霙とともに
いた人
存在していた人たち
出来事
状況
どれも
もう消えうせてしまって
今
霙だけがあり
私だけがあり
しかし
霙が呼ぶ
霙が甦らせる
人
人たち
出来事
状況
あの頃
あんな時
すべて
消えうせて
今
霙だけ
私だけ
さらに
寒くなっていく
歩いているうちに
霙となった
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