2017年1月12日木曜日

落していく時節 振り払っていく時節



人って
どうしようもないところがあって
知りあいぐあいの網の目が
ちょっと込んでくると
水のように
空気のように
関わりあいの繊維に染み込んで
いつのまにか
じわっと
こちらを支配してくる
そんな人が
多い
本当に

好きなこと
嫌いなこと
主義
主張
すべきだ
阻止するべきだ
許せない
望ましい
断固なになに
絶対なになに

そんなことすべては
その人の趣味
馴染んできて癖になったもの
生きてきた過程でのごくごく私的な習い性
記憶にこびりついた仕草や雰囲気
あるいは単に
その人の自我のかたよりや
ゆがみ

その人がその人の圏内で
そんなことにご執心なのはかまわない
それがその人自身だと信じ
しがみつき
後生大事にくどくどと
反芻し
反芻し
しゃべりつづけていても
体臭の染み込んだ綿入れからあたりに漂う
じっとり老いた
おもい臭いのように
あたりに広がっていても

どうぞご勝手に
けれど
その人の薄肌一枚から外に出てしまえば
もう誰も
そんなことに真向きはしない
他人の内面は
恐ろしく淋しく救いようのないまでに
ただの雑音
あたり前のこと
他の人には他の人なりの
大量のそんな雑音が
薄肌の中にびっしり詰まっているから

冷たい人間のようにも
見られても
こちらを支配してくる人たちを
みんな
落していく時節もある
はっきり意識して
つれなくし
きっちりと計算し
してくれたことはちゃんとお返しし
してくれなかったことはちゃんと
これっぽっちも返さないように
正確に
一グラムの心情の誤差もないように
お役所仕事のように
振り払っていく時節もある



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