語り口に
なんとなしに
乗せられるまゝ
世間の
誤解にも
流されるまゝ
紫の上こそ
すてき
とか
そもそも
藤壺こそが
うつくし*
とか
そんな
不注意至極な
見方から
やっと逃れて
高慢で
冷淡で
無表情ともされる
すなわち
うるわし**と
される
葵の上の
いじらしさ
かわいらしさが
ようやく
わかってきてから
たぶん
男の
男らしさは
はじまる
そんな事情が
なにもわからず
夕霧を生ませ
二十六で
彼女を死なせてしまった
源氏のようには
なるな
と
男たちは
男たちどうし
それとなく
伝えあいながら
ひそかに読み継いでいく
そんな
触れかた
読み直かたも
ある
あのいにしえの
物語
*うつくし
いとしい、美しい、きれいだ、 小さいものに心惹かれるようにかわいい、愛らしい…
**うるわし
きちんと整っていて美しい、 りっぱで完璧だが堅苦しさを感じさせる、 きまじめで礼儀にかなっている…
0 件のコメント:
コメントを投稿