2017年6月11日日曜日

夜…

 
他人の気を惹きたいと思って
惹きつけるようなことをしたり言ったり
そんな人々で溢れかえっている世も
暮れがたになれば
道々は閑散としてきて
気持ちのよいさびしさが
涼しげに溜まり出してくる

夜の闇がもっと染み上がってくると
もう人の顔など
だいたいの輪郭に過ぎなくなって
のんびりした“誰でもよさ”に
ブレっぱなしになっていく

誰が誰であったか
誰でなかったか
そんなことは
どんどん
どうでもよくなって
口が開いて音を出したり
音が言葉だったり
言葉でなかったり
開いた目の表面が光ったり
目が閉じられたり
そんな光景が無数に展開されるうち
闇はもっと深くなって
なにもかもが
すっかり軽くなり切ってしまう

そうして
べつに必要もないのに
夜…
などと呟いてみてしまうのが
あなたであったとしても
わたしであったとしても
これもまた
べつに
どうでもよい
いつもながらのこと



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