2017年8月9日水曜日

夏、炎天の東京



海苔のような香りが漂ってきている
たぶん東京湾から
風が吹いてきているのだろう
都心にいても夏の浜の雰囲気が
むこうから来てくれる
ひっきりなしの雲の変化は
まるで地上に起こっているすべてが
幻でしかないと教えてくれているようで
昼日中しろっぽくなった空の青さも
なんだか似つかわしい薄っぺらさ
汗ばむ幻が日中は激しく続き
やがていつもの甘い夕刻となるのだろう
ときおり窓の中へ入り込んでくる風が
贅沢すぎる慰安のしつらえのうちの
控え目なたくらみのように嬉しい




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