複声レチタティーヴォの連続のみから成るカンタータ叙事詩
[1982年作]
(第十五声)
……ふうん。というと、 きみもずいぶん仲がよくなったというわけだな、 きみのシルヴィと。
まあ、待て、もう語らなくていい。
夜だ。
いつものようにわたしたちは、 この部屋の高いところにある細長い窓を開いたまま、 ベッドに就いた。
夜の冷気が闇の仮衣装を着て、 天から下り降りたばかりの清冽な水のように、 ひたひたと絶えずその窓に打ち寄せ、 そこから中へと流れ込んでくる。
おかげで、わたしの頭は今夜も醒め切っている。
この部屋の中、闇の中でベッドに横になってはいるものの、 いまだにひとり眠りを拒み続けたままだ。
問いたげだな、いったい、なにを思っているのか、と。
答えてやってくれ、わたしよ。
もう過ぎ去ってしまった昼下がりのあの数時間、熱い陽射しの下、 時には木蔭に入りもして、 汗を拭き取る乾いた忠実な空気たちの揺れ動く中で、 わたしがどのように時間を進めたか、を。
もしも、明日からなにか小さな不幸が始まるとしても、 わたしとシルヴィとの共通の思い出、 ともに過ごし得る時と場所がもう二度とわたしたちに与えられない のだとしても、今日、あの時間の中に封印された事どもの、 けっして失われてはなるものか。
(続く)
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