2017年12月3日日曜日

まだ 生きているわね 鯉、 お前裂いて

[2000年1月作  2017年12月再構成]


わたしは髪を洗う女である男
である少女、
鯉を裂き、
きょう、泥の味ゆたかに煮付け 
殺した愛人の子等に出す。
子等、わたしの背丈を越えた十九の若者
と まだ十の 頬やわらかい少年 
背をすこし丸めて、うつむきがちに食べる。
殺された粗暴だった父を思うの? 
殺されるにふさわしかった父、
あんな男? わたしの前で?
わたし、少女 この子等 わたしを愛するかしら、
わたしのからだ 匂い 男である少女 髪を洗う女
である男であるわたし、鯉を裂き 
あの子等に食べさせる 
わたし、男 乳房ゆたかな
男 だれより泥と濁り水にからだ浸して
きょう裂く鯉も 腕と乳房で捕えた
鱗が乳首を幾鱗も滑り 殺した男の血のぬめり 
思い出して恍惚。わたし、この子等をりっぱに
女にしよう すぐにも男根ふたつ切り落として
吹き出る血を口で覆い 宇宙のべつの
回路へと子等を導く 傷口落ち着いたら
新しい鯉の内臓を擦り込もうか それとも
父親の脳のすり身を塗り固めて すべらかに
美しい つるつるの股間の再生 待つ

わたしは髪を洗う女である男である少女、
殺した愛人から絞った血で
ながくながくねっとり髪洗う男少女 
まだ、生きているわね 鯉、お前裂いて
きょう、泥の味ゆたかに煮付け 
殺した愛人の子等に出す。



0 件のコメント:

コメントを投稿