ある人へ宛てた福原麟太郎の手紙を読んでいたら
「御筆硯お忙しき御様子、御壮健を祈ります」
とあって
「筆硯」という言葉など
わたしは手紙でもメールでも使い慣れなくなっていて
なんとも情けないことだと思われた
辞典で調べたら「筆硯」とも「筆研」とも書くようで
書簡文で分筆にしたがう人の起居などにいうとある
「筆健」という言葉もあるが
こちらは詩文に達者なことをいうので
使用される文脈はまた異なるだろう
「健筆」の場合も同様らしい
いずれにしても
メールだの
ましてやLineだのでは
あまり縁のない言葉になってきている
午後にすこし時間のできた頃
すべき他のこともせずに
こんな言葉のいっぱい織り込まれた書簡集を
ゆっくり読んでいて
どれも内容というほどの内容もないものだったが
なんだか
人生というのはこんなふうにこそ過ごすべきものと
ひさしぶりに
しみじみ感じたものだった
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