愛名…
恐ろしいのは、これ
〈愛名は犯禁(ぼんきん)よりもあし。犯禁は一時の非なり、 愛名は一生の累(るい)なり〉*
道元の師、如浄禅師の言葉のようだが
これをそのまま
道元はみずからの言葉としたか…
〈愛名は犯禁よりもあし。
〈犯禁は一時の非なり、愛名は一生の累なり。
〈おろかにしてすてざることなかれ、 くらくしてうくることなかれ。
〈うけざるは行持なり、すつるは行持なり。
〈六代の祖師、おのおの師号あるは、みな滅後の勅謚なり、
〈在世の愛名をすてて、仏祖の行持をねがふべし。*
愛名は、名を愛する、名利を愛する、
名誉欲のことだろうが、
じぶんの名というもの、じぶんに付いてくる名の数々、
それらをを愛することでもあろうか…
じぶんをよく見せようとする気持ち、思い…
こちらのほうが、犯禁より悪い、という…
一生の累となるという…
これは、じぶんにしか見えない、たいへんな重荷、 差しつかえだから…
昔にも況して、あまりに、愛名に憑依されたまゝ、
その、恐ろしさにも気づかず、それで、よし、としつゝ、
来ては去り、来ては去り、過ぎ去る影たちが、
人、人、人たちが、多くなってしまって、……
苗字さえ、持たないで、居られた頃の、
思えば、
なんという、しあわせ、……
*『正法眼蔵』、行持・下
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