家のなかのちょっとの風の廻しようで
たいへんな暑さも
いくらかは
従順なけものようになる
そんなけものの背や脇腹を見ながら
すこし後方に座っていたりすれば
暑さのもっとも激しい部分は
こちらには襲ってはこない
わたしひとりでいるときなら
身近な環境とのそんなおりあいも
驚くほど容易につく
暑いとき
寒いとき
湿気の多過ぎるとき
どうして大げさに
不快さや不愉快さに踊らされる人がいるのか
そうしてまわりのすべてを不快さや不愉快さに巻き込む人がいるの か
わたしにはわからない
幼時からわからなかった
しかたなく
そういう人たちのかたわらに居させられた子供時代
わたしは環境のせいよりも
そういう人たちのせいで四季それぞれの大気の楽しみを損なわれた
成長してからはそういう人たちを避けた
暑くても
寒くても
痛くても
苦しくても
不快さや不愉快さをこれみよがしに出さない人たちとだけ
わたしは居ることを選んだ
そのゆえの人づきあいの少なさをわたしはまったく悔いない
猛暑といわれる日々
家のなかで暑さが剛毛の生えた龍のように寝転がっている
その近くに居たり
ときには跨いだりしても
暑さはいちばん鋭い牙をわたしにはむけて来ない
すべてのものにはおりあいをつけるすべがあり
それらにはそれらなりの存在理由があるのをちゃんと認めてやれば
おのずと一体感のようなものが生まれてきて
その中にはかならず楽しみもあれば
一期一会の充実もある
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