2018年7月24日火曜日

ぼくの物語はまだまったく始まってもいない



今日もずいぶん暑かったので
ゆうべ
はやく酒場に行って
集まってきたみんなで
まずはビールを飲み
それから軽めの酒を飲み
なんやかや
どうでもいいことを話しながら
ときどきは
わいわいと声を高め
すっかり暗い夜空になってしまう前に
なにか特別な名の付いているかのような
夕ぐれのブルーに包まれて
あゝなんという幸せだ
こんな深いブルーの中にいられて
とつくづく思いながら
じぶんが誰だか忘れてしまっていて
誰になるべきかも忘れてしまっていて
…そう、メルセデスが迎えに来て
エドモン!
と呼ぶものだから
ようやく気づいたような次第
エドモン・ダンテス
という名の
ぼくだったのだと
しかも
ぼくの物語は
まだ
まったく始まってもいないのだと



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