2018年11月11日日曜日

あの素晴しい愛をもう一度



    「世の中が音楽を必要としなくなった。
  創作意欲がなくなった。
  消えてしまいたい」
                       加藤和彦 遺書



最後はやっぱりクリスタルキングじゃないのか
と「大都会」をかける前
やはり
これで最後
と思いながら
きらめくあべ静江の「みずいろの手紙」をかけていたけれど
その前は
あれだけの歌唱力が
どうしてその後メディアに出てこなくなったんだろう
と悔やまれる伊藤咲子のものを
「乙女のワルツ」からはじめて「ひまわり娘」へ
そして「きみ可愛いね」へと
ひととおり聴いてきたのだったが
その前は
どんな歌だったっけ
とちょっと忘れかけていたザ・サベージ「いつまでもいつまでも」
かけてみて
あゝこういうのあったな
たしかに
と独りごとしながら
その前に聴いた久保田利伸「LA LA LA LOVE SONG」が
テレビドラマ「ロングヴァケーション」で使われていた頃
そう
1996年頃
清水玲奈をもちろん思い出すとともに
頬からうなじの美しかった舟木てるみも色あせず思い出されたけれ
そのひとつ前にやはりいつものように聴き返してしまった
大好きなEvrery Little Thingの「Time goes by」の余韻から
これもやはりいつものように浮上してくる
鈴木あづさの小さな頭とすべらかな髪の毛を
いまも手のひらで触れているように
ありありと蘇るまゝにさせ
その前に聴き直していた竹内まりやの「September」が
つよく呼び戻す大学の蔦の絡まる校舎と
クリスマスを待つ樅の木のイリュミネーション
毎月ごとの淡い恋の予感と
失望と
刷新と
10歳も年上だった美女
長浜美影の
ずいぶん老いてから彼女を産ませたというお父さんが
川端康成の親友だったという逸話
その逸話をときどき聴きながら
まじまじと顔を見つめさせてもらった
なんとも典型的な青年らしい
恋というよりも
憧れそのもののガラスの心の綱渡りのような
たまの得難い日々の時間は
その前にかけて聴いていたザ・ワイルドワンズの
「思い出の渚」の曲調によって
たぶん思い出のなかにすでに準備されていて
そのひとつ前にかけていたヴィレッジ・シンガーズの
「亜麻色の髪の乙女」のメロディーの流れていた時からも
きっと始まっていたにちがいないが
さらにその前にかけていた
Dreams come trueの「LOVE LOVE LOVE」の
あの雰囲気から
やっぱりすべては始まっていたのか
あれは2001年頃の作曲だっただろうか
とすれば
あれがまだ作られていなかった時だったのだな
1997年のクリスマス
国立代々木競技場にDreams come trueが設置した
見事なクリスマスツリーを
清水玲奈と眺めた12月23日(火)は
その日
パルコ3のスタージュエリーで
小ダイヤのちりばめられたプラチナの指輪(11万円)を玲奈に贈り
ポコ・ア・ポコでは
クリスマスディナーをふたりで食べた
小さな偶然だが
LOVE LOVE LOVE」の前に間違えてかけた
Le Coupleの「ひだまりの歌」も
思い出し直してみれば
1997年の作曲だったのではないか
やはり
異様なたいへんな勢いで
まだ未整理なまゝ放り出しておかれた90年代終わりが
大津波のように
押し寄せてきているのか……

なにか
たぶん素晴らしいものにふたたび巻き込まれていきそうになりなが
みんなずいぶん歳を取ってしまったとはいえ
まだ
自殺する前の(とはいえ、それがもうまぢかに迫っている)
加藤和彦から
北川修への
歌の受け渡しのすてきな「あの素晴しい愛をもう一度」を
とりあえずの〆として
聴き直してみている




大都会
みずいろの手紙
乙女のワルツ
ひまわり娘
きみ可愛いね
いつまでもいつまでも
LA LA LA LOVE SONG
Time goes by
September
思い出の渚
亜麻色の髪の乙女
LOVE LOVE LOVE
ひだまりの歌
あの素晴しい愛をもう一度




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