2019年4月29日月曜日

意図された予感



   偶像はことごとく滅びる。
 主が立って地を揺り動かされるとき
 岩の洞穴、地の中の穴に入るがよい
 主の恐るべき御顔と、威光の輝きとを避けて。
 その日には、だれもが
 ひれ伏すために造った銀の偶像と金の偶像を
 もぐらやこうもりに投げ与える。
      イザヤ書2-1820


南方からの風にも
北方からの風にも
まだ流れてもいないのに
大量の血の匂いが混じって来ている……

人間の心は
あまりに複雑な腐りかたと
ねじ曲がりかたをしてしまっているので
どのような工夫を今後作り出そうとしたところで
理不尽としか見えない
悲劇と
衝突と
滅亡しか
やはり招来することはないのだろう

たゞ
独り独りの意識の本当に深いところでの
独り独りの誰にも見られない小さな探索と考究のみが
実質的な歩みとなりうるのかもしれないが
これとても
やはり
単なる無責任な夢かもしれない

わたしは
いや増して
あらかじめ
一層の
極限の絶望をしておくことにしよう
と思う

圧倒的な重量で
人々の心を押し潰すであろうものが近づいて来ている
と強く予感しておくことにしよう
と思う
準備としての予感であって
予感そのものではないが
インカやアステカで繰り広げられた程度の出来事に
たじろがないで
目を開き続ける力を維持するための
意図された予感だ

南方からの風にも
北方からの風にも
まだ流れてもいないのに
大量の血の匂いが混じって来ている……






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