平成の終わりの日も雨で
東京は霧にけぶるような降りかたをしていたが
令和の幕開けの日も
朝はやくから雨もようとなっている
雨に良いも悪いもないが
なんだか
風景をもっとリアルに感じさせるような気がして
嫌いではない
黒澤明も映画のなかで雨を降らせるのが好きだし
小津安二郎の『浮草』にも雨の名場面がある
タルコフスキーだって
雨や水が欠けていたらどうにもならない
1989年の2月24日の
昭和天皇の大喪の礼の日も激しい雨が降っていて
新宿御苑での葬場殿の儀や大喪の礼には
164カ国や27機関の首脳や代表が参列し
ブッシュ大統領やミッテラン大統領などの姿もあった
この日は公休日となったので
15時頃までずっとテレビで様子を見ていた
手帳のメモによれば
その後で洗濯機をまわしたらしい
夕方には
雨は止んだのか
小降りになったのか
その日もふくめ数日
デリダ論を何日もかけて書いていたらしいが
内容について詳しくは記していない
26日の日曜日には渋谷西武の画廊に出かけ
はじめて塚本邦雄に会っている
28日には世田谷区松原のモーリス・パンゲ先生の自宅に出かけ
フーコーについてのレポートを手渡している
パンゲ先生は『自死の日本史』の著者で
親友のミシェル・フーコーやロラン・バルトは
日本に来ると
松原のこの家に寄ったものだったらしい
4月5月の連休の頃には
29日に竹橋近代美術館で「オディル・ルドン展」
30日に上野国立美術館で「室町時代の屏風絵展」
2日には上野西洋美術館で「ヴァチカン美術館特別展」
その後神保町の岩波ホールに向かってアンジェイ・ワイダの『 悪霊』
もちろん
もっとプライベートなこともメモされているが
此処には記せない
平成がはじまった頃
そのごく一部だけでもこのようなぐあいで
とてもではないが
短くなどまとめようもない
あなたにとって平成はどんな時代でしたか?……
などという
質問は
とにかく
安易にはしないことだ
0 件のコメント:
コメントを投稿