イヌコロクサと呼んだりネコジャラシと呼んだり

  

よい秋や犬ころ草もころころと

という

一茶の句を見ながら

エノコログサは

ほんとうにイヌコロクサから来たんだろうか

どうしてイヌコロクサとか

イヌコログサとか

そのまんまで呼ばれ続けなかったんだろう

と疑問に思ったが

そのあたりを

ちゃんと解説してくれているような情報には

なかなか行きあたらなかった

狗の尾の草

とも書くといった説明はあるが

だいたい

こいつはネコジャラシとも呼び慣わしてきたわけで

犬になったり

猫用になったり

けっこう調子のいいやつなのは

まあ

間違いない

犬の尻尾にじゃれて

猫がつかみかかったり

噛みついたり

というのは

ネットの動物動画ではたまに見るが

あれは

おなじ家に飼われていて

ずいぶん仲のいい犬猫連中の話なわけで

むかし野良の犬猫のあいだで

猫のやつがそんなことをしたら

きっと

命にかかわることになっただろう

イヌコロクサと呼んだり

ネコジャラシと呼んだりしてきたのは

犬の尻尾に果敢に挑んで命を散らしてきた猫たちに

子どもたちが

それとない哀悼の思いを込めての

ことだったかもしれない