万葉集巻二十五を見いでたる夢さめて胸のとどろきやまず
佐佐木信綱
美しい写真に惹かれて
導かれて
未知のひとのfacebookの過去の記事の数々へと
ふいに入り込む
四年も前の写真と記事へ
七年も前のページへ
九年も前のずいぶん個人的な日録へ
みずから撮ったもの
よそから見つけてきたのであろう写真
とりまぜて
どれもしっとりと
静謐なこころを思わされ
詩
というのは
こういうひとのところで
まだ
息をしていたのか
と
うれしい
しかし
三年前の日付を最後に
さようなら
この場でご縁のあったお友だち
みなさまがお幸せでいらっしゃいますように
と記されたまゝ
投稿は終わっている
アカウントを
閉じないで
残しておいてくれているのが
さいわい
しずかに
息を呑むような
写真の数々はfacebookに残され
型にはまらない
かたくない
けれども品のある
ことば少なな日録も残されて
さいわい
四年も前の写真と記事へ
七年も前のページへ
九年も前のずいぶん個人的な日録へ
遡りながら
おなじ頃のこちらの
生活の光景や思いの数々をも
なんども
蘇らせていける
よろこび
このひと
facebookをはじめた頃は
どんなことを記していたのだろうかと
最初期にまで
遡って行ってみると
あぁら、不思議
最初の投稿は1977年のもの
どこかの湖らしき水面の
深い色あいの
しかし
輝くようでもある波紋の
たった一枚の
写真
添え書きはひと言
「生まれ変われるかな、私?」
と
見る間に
もちろん1977年という日付は消え失せ
2009年に早がわり
佐佐木信綱の歌のような
夢での
べつの世界の
垣間見で
でも
あったろうか
万葉集巻二十五を見いでたる夢さめて胸のとどろきやまず
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