なにかを文字で記したり
書いたり
そんなことを
ついに
すっかりやめてしまうという
はれやかな夢を
目覚め際に見ていた
そうして
無数の透明な原子の粒になって
からだといい
こころといい
それまでわたしを構成していたものが
四方八方に
飛び散っていくさまを見ながら
目覚めた
文字ばかりか
からだも
こころも
思念も
感情も
障壁でしかないのだから
ようやく
生きることの入り口に来たかと
うれしかった
起き出て
歯を磨くために
ハミガキをチューブからすこし出すと
まっしろい龍になって
洗面所の天井に立ちのぼり
しばらくゆっくりと舞ったあと
そのまま天井を抜けて消えていった
もう一度
ハミガキをチューブから出すと
それは龍には変化しなかった
チューブから出したハミガキが
龍に変化したり
しなかったりする
分岐点が
やはり気になるのである
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