2020年2月7日金曜日

眠りという真の覚醒の領域にこそ


  
東の空が明るくなってきていても
まだ
暗さがあちこちに染みている
異界の領している
頃に
眠りという真の覚醒から意識が身を引き離して此界に戻ってくる
あの言いようのないさびしさ
死そのもののはかなさ
たよりなさ
せつなさ
おそろしさは
なんだろう

子どもの頃から
たびたび感じてきたこのことが
さっき
明け方に目覚めた際にようやくすこしわかった気がする
眠りという真の覚醒の領域にこそ
じぶんにとってのいっそうのじぶんがあるので
それを離れて此界に戻ってきてしまうのが
さびしく
はかなく
たよりなく
せつなく
おそろしいのだと

あゝ どんなに心ぼそく
おそろしかっただろう
眠りという真の覚醒の中のやすらぎからもぎ取られ
時間と空間の柵をべったりと押しつけられて
霊としての障害者とされてしまうあの時
出生という
禍々しい瞬間は




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