新型コロナウィルスで騒がしくなってから
中学の時に同学年だった人とLINEのやりとりが繁くなった
小中学生相手の塾で働いているそうなので
役立ちそうな情報を見つけると送ってやったりしている
学校の休校措置が採られてからはいっそう繁くなった
もういい歳でもあるし家庭もあるから
ちょっとやそっとではへこたれないはずの人なのに
世界規模になったウィルス事件には意外と心をやられていると見え る
「厭なことや最悪の事態って
「いつもと変わりない生活の中で突然起きてきて
「最初はなにが起きたんだかわからないでいるうちに
「月日が経つにつれて少しずつじわじわと苦しさが押し寄せてくる
「気づいた時にはもう腹をくくるしかない状態になっている
「そんな状態に慣れてくるじぶんに気づく
「でもときどきどうしようもなく我慢ができなくなる……
こんなことを書いてきたりする
これを読みながら
ぼくの場合は「厭なことや最悪の事態」って
どんなことだっただろう?
いつのことが該当するだろう?
そう思ってあれこれ思い出してみて
東北の大震災やその後に起こった原発事故の後で
放射能汚染が数百年どころか数百万年続くと知った時だろうか?
それとも個人的な生活上のあれこれの事件の時だろうか?
いろいろ思い出しては吟味してみたが
しばらくしてハタッ!と気づいた
それこそこの人と通っていた中学校の生徒だった頃
あの頃こそが「厭なことや最悪の事態」だったと気づいたのだ!
ふつうに考えて悪い厭な学校ではなかったし
友人関係はよくてイジメなど皆無だったし
先生たちもそれぞれ頑張っていていい先生たちだったと言えるし
設備もよかったし
教育的な配慮の点でもよかったし
客観的に評価すればとにかくとてもよかったはずなのに
そういえばあの頃こそが…と気づき直してみると
そうだ、本当だ、あの時こそ「厭なことや最悪の事態」だった!
と急にパズルがぴったり解けたようにわかってきたのだった
いったい中学生時代のなにが「厭なことや最悪の事態」 だっただろう?
そんなふうにもうちょっと分析していこうとすると
小学生時代から何年も続いてきていた内臓の慢性疾患が思い出され る
すぐに命に関わるものではないものの
一生治ることはないだろうと言われていて
毎週の太い血管注射や毎月の血液検査や
毎日3回飲むたくさんの薬がぼくの日常になっていて
スポーツは禁止だし夜更かしは禁止だし林間旅行も制限付きだし
なにより週に二回ほどの病院通いに時間を取られていた
しかし中学時代が「厭なことや最悪の事態」だったのは
どうもこの病気のせいではないような気がする
そうしてあれこれ考えていくうちに思い当たったのは
通った中学校がある意味であまりにいい学校だったからではないか ?
ということ
大学の教育学部の付属中学校で
ここに来る先生はその教育学部の俊英ばかりで
教え方の点でも先進的な実験が行われ
のんべんだらりと教科書だけ済ませばいいといった教え方は縁遠か った
ふつうに考えてやはりとてもいい学校だった
ところがぼくからみれば先生たちによる管理が行き届き過ぎていた
通知表が学期末に渡されるのはどんな学校でも同じだが
ここの学校では中間・期末テストや小テストの結果がグラフ化され
教室や学年の中での順位が毎月出されていて
先生によってはそうした順位だけで生徒を見るようなこともあった
進学塾や予備校ならあたりまえの形態だろうし
成績を上げさせるためには先生たちとしてもよくやっていたのだろ うが
テスト結果を通してしかこちらを見てはくれない気がして
成績がいい時もよくなかった時も抑圧されている気がしていた
ひとり強烈に順位を上げるように生徒を鼓舞する先生がいて
卒業後もどこどこの高校以上に行かないといけないとか
大学がどこどこ以上に行かないといけないとか
そうして大企業や弁護士や医師として出世しないと意味がないとか
授業の際にも面談の際にも廊下ですれ違った際にも言われ続けた
こんなことが急にパアッと思い出されてきて
そうか
いかにも優秀なよき社会人養成のためにしっかり管理された
いいか悪いかといえばいい教育環境だとしか言いようのないあの中 学校
あれがぼくには「厭なことや最悪の事態」だったのか
と今になってあらためてはっきりと気づくに至り
なるほど
その後の怒濤の人生のなかでもあれほど「厭なことや最悪の事態」 は
ついに一度もめぐっては来なかったわけだ
ぼくは優秀なよき社会人の路線や
金と名誉だけが云々される社会での出世路線から
逸れ続けるだけの人生を辿ることになったのだから
と納得するに至った
そうして
中学校の同学年だった人に送った返信は
「あの中学校に通っていた時代と比べると
「原発事故後や今のウイルス禍も
「はるかに晴れ晴れとしたものに感じられます
「逆に、今みたいな状況下に置かれてみると
「どれだけあの中学生時代が厭で最悪だったか
「ほんとうにありありと確認されて
「けっこう驚いちゃってます
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