疫病流行のさなか
季節はずれの雪が降り出して
午後まではまるで冬のように大きな雪片が舞い
気温も下がって
あたかもこれからクリスマスでも迎えるかのようだった
戸外に出たのは夜も遅くなってからで
その頃にはもう雪も止んでいたが
政府や行政機関からのおりからの自粛要請もあってか
まさか生真面目に要請を受け止めたわけでもあるまいとは思うもの の
街にはほとんど人影はなく
正月の深夜のような街路が四方に延びているばかりで
宴のあとのようでもあれば
これから始まる大きな催しの前の静けさのようでもあった
日中に降っていた季節はずれの雪を思い出しながら
ふと口をついて
♪季節はずれの雪が降ってる……
と古いフォークソング*の一節が洩れ
そうか、あの唄もこんな季節の唄だったかな
と他の部分も思い出していくうち
♪ふざけすぎた季節のあとで……
というサビのちょっと前の歌詞が浮かんでくると
あゝ なんだかこのとおりではないか
と腑に落ちるものがあった
ずいぶんと調子に乗って
人類もふざけすぎた季節を過ごしてきたわけだ
♪ふざけすぎた季節のあとで……
とこれからなっていくのだ
♪いま春が来て きみはきれいになった
♪去年よりずっと きれいになった
となっていくのだ
きみというのは地球のことだな
いま春が来て
地球はきれいになっていくわけだな
そう思い至ってみると
あゝ なんだか
ほんとに
そのとおりではないか
と腑に落ちるものがあった
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