2020年6月12日金曜日

イヌゴマのようなささやかな花の野草を

 

朝のうちに
干しておいたシャツやブラウスたちが
風のささやきに
いちいち
身を揺らして応えている

今日は
もう
海のほうからは
なにも
来ないだろう

おだやかな午後が
大きな孵卵器の蓋のように
すっぽり
包んでこようとしている

お茶を淹れてほしがっている
時間のような
誰かが
きっと近づいてきている

イヌゴマのような
ささやかな花の野草を
一本か
二本
指先に揺らしながら



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